今治市営球場での2回戦第2試合は、前日に全国1勝をあげていた初出場同士の対決。試合は両川スポーツ少年団(新潟)が先手を取り、昭和ブルーホークス(北海道北)が追い上げる展開となった。
(写真&文=鈴木秀樹)
■2回戦
◇8月9日◇今治市営球場
▽第2試合
4回表に同点、5回表に逆転
[北海道北]初出場
昭和ブルーホークス
022121=8
410100=6
両川スポーツ少年団
[新潟]初出場
【昭】伊勢谷、田村、伊勢谷-谷口
【新】笹原、山森、廣瀬、窪田-保坂
二塁打/田村、加藤、畠山2(昭)、芳賀、山森、笹原、保坂(両)
【評】両川スポーツ少年団は1回裏、先頭の山森陽人、二番の窪田力毅が続けて四球を選ぶと、笹原徹太がバント安打。続く保坂慶人が四球を選び、押し出しで先制点を挙げると、芳賀めい主将の左翼線二塁打で2点を追加、さらに鈴木翔太の内野安打でもう1点。それでも、追う昭和ブルーホークスは2回に田村芳輝、加藤勇次郎(5年)の二塁打などに敵失も絡み2点を返すと、3回にも連続四球と畠山海李の中越え適時二塁打で2点を追加、2回以降は毎回得点で着実に得点を重ね、5対6で迎えた5回、四球と畠山の中越え適時二塁打で追いつき、さらに田村と干野健悟の連続バントで勝ち越し。最終6回にも加藤の安打から1点を追加し、両川を振り切って勝利を収めた。

2回裏二死、昭和は九番・加藤の適時二塁打で二走の柬理隼希がホームイン㊤。加藤㊦は3打数3安打の活躍


昭和は畠山が3回の2点打㊤、5回の同点打と2打席連続の適時二塁打。1回裏の無死二、三塁のピンチでは、投ゴロから1-3-2の転送で併殺を奪った㊦


両川は1回表、五番・芳賀主将の二塁打で窪田(右奥)と笹原(右手前)が生還㊤。2回には野選で三走・山森が5点目のホームイン㊦


5対5に追いつかれた両川は直後の4回裏、笹原㊤と保坂㊦の連続二塁打で1点勝ち越すも…

―Good Loser―
大きな1勝、価値ある1敗
りょうかわ 試合が終わってベンチを空け、球場の外に出た両川スポーツ少年団ナイン。敗戦に肩を落とす選手たちの中に、号泣する芳賀めい主将の姿があった。
グラウンドでは笑顔を絶やすことなく、試合後もチームメートに声を掛けて回っていたキャプテンが、顔を伏せ、嗚咽を漏らしている。「自分がしっかりしないと、と思って、グラウンドではこらえていたけど、外に出たら我慢できなくなって…」。頼れる主将はそうつぶやき、止まらない涙をぬぐった。

「やはり全国大会は特別でした」
高橋豊監督が振り返る。
「球場全体の雰囲気ですね。ひとつのミスが、ものすごく大きなプレッシャーになる。そこから失点…。負けるときのパターンではありますが、劣勢の空気感は、いつもの試合とはぜんぜん違います」

そんな中で、得たものも大きかった。
「試合前の練習場の確保では、多賀少年野球クラブ(滋賀)の辻正人監督が力を貸してくれましたし、北名古屋ドリームス(愛知)の岡秀信監督や、同じ宿舎になった塩尻UNIONS(長野)の指導者の皆さんともお話して。指導者同士の交流は、すごく勉強になります」
さらに続けた。
「そして今日、自分たちの前に試合をしていた長曽根ストロングス(前年優勝/大阪)さん。選手みんなが自信を持ってプレーしている姿が印象的でした。それだけの準備をしているから、あのメンタルで試合ができるんでしょうね。間近で見ると、また感じるものがありますね」
長年の悲願だった全国大会出場で得たものは、予想以上だったようだ。
「大きな1勝を挙げられましたし、敗戦で学ぶものも大きい。連れてきてくれた子どもたちに感謝しかありません」
またとない経験を経て、再び前へ。
「6年生もまだ、数カ月ありますし、大会も残っている。この経験を生かしていきたいですね」
ベテラン監督はそう言い、うなずいた。

二番打者として攻撃の中心となり、リリーフのマウンドでも奮闘した窪田力毅は「負けた悔しさはあるけど、大会を楽しむことはできました」と笑顔を見せた。「スタンドから大きな応援の声が聞こえる中で、バッターとして、相手の良いピッチャーと対戦できたし、ピッチャーとしては、どのバッターも気が抜けなくて」
窪田と一、二番のコンビを組んだ山森陽人は、以前の所属チームが消滅し、昨年の秋に両川に加わった。「頼りになる仲間が増えて、試合をするたびにチームの雰囲気が良くなるのを感じていました」と振り返った。
再び高橋監督。
「そんな中でも、大きかったのは芳賀の存在です。彼女が本当によくチームをまとめてくれました」

チーム初の女子キャプテンは、夏になる前まで、この先、野球を続けるかどうかに迷いがあったという。中学では野球部のマネジャーとして、とも考えていたそうだ。
しかし、全国大会に向けて練習を重ね、そして愛媛の地で仲間たちと戦う中で、その思いにも変化があったようだ。
試合後、今後への思いを問うと、芳賀主将はまだ涙が乾かない目を前に向け、「野球を続けたいと思います」ときっぱり。この後に続くストーリーはどんなものだろうか。選手たちの物語はまだ、始まったばかりだ。

